ダイレクトチャネルシステム

かつて金融ビッグバン以前の時代においては、営業店網は金融機関間の競争における主要な差別化要因でした。このため各金融機関は、営業活動や各種事務処理を実施する重要なチャネルとして、営業店網を整備してきました。

しかしながら、金融ビッグバン後の金融機関の再編・統合の流れの中で、各金融機関とも経費削減などを目的として、営業店網自体の統合・削減のほか、営業店における事務処理や営業活動も見直し・集約化が進められました。

一方、インターネットやPC、携帯電話、スマートフォン等の普及を受けて、顧客と直接的な接点を有する技術的な環境が整ってきた上、これらのチャネルは営業店と比較すると安価かつ画一的なサービスが提供できることから、各金融機関とも積極的にダイレクトチャネルの構築に取り組んできました。

現在の金融機関におけるダイレクトチャネルは、インターネットバンキング（個人、法人）、スマートフォンアプリ、コンタクトセンタ、電子メール、ソーシャルネットワーキングサービス（SNS）などがあります。

近年、これらのダイレクトチャネル利用率は拡大を続けており、顧客の利便性向上や金融機関の事務コストの低減に大きく寄与しています。スマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末などの新しい端末での顧客接点の拡大しているほか、X、LINE、InstagramなどのSNSサービスも利用率が拡大していることから、今後ともダイレクトチャネルシステムの利用拡大が期待されます。

以下に、ダイレクトチャネルシステムの位置付けを示します。

ダイレクトチャネルシステムを構成する個別システムの概要については、各解説ページを参照ください。

個人インターネットバンキングシステム

個人インターネットバンキングシステムは、個人顧客にインターネット経由で残高照会や振込、カードローン取引、投資信託取引等の各種取引を提供するシステムです。 詳細は個別の解説ページを参照してください。

法人インターネットバンキングシステム

法人インターネットバンキングシステムは、法人顧客にインターネット経由で法人口座管理、総合振込、給与振込、外国為替等の各種法人取引を提供するシステムです。詳細は個別の解説ページを参照してください。

コンタクトセンターシステム

コンタクトセンターシステムは、コンタクトセンターにおける、顧客からの問い合わせ業務（インバウンド業務）や顧客へのセールス・マーケティング業務（アウトバウンド業務）の効率化を支援するシステムです。 詳細は個別の解説ページを参照してください。

スマートフォンアプリ

近年、スマートフォンやウェアラブル端末の普及を受け、 多くの金融機関が多彩なスマートフォンアプリを開発・提供しています。 基本機能として、残高照会や取引履歴の確認、振込や送金などを実装しており、QRコード決済やクレジットカード決済などキャッシュレスサービスとの連携も進んでいます。

また、個人資産管理を支援する機能が注目され、FinTech企業と連携した支出の可視化や予算管理、複数口座の一元管理が可能なサービスも増えています。さらに、少額投資やロボアドバイザーを通じた資産運用提案機能も備える場合があります。FinTech企業やサービス企業と連携したBaaS機能やエンベデッドファイナンス機能の提供を強化する金融機関もあります。

セキュリティ面では、生体認証やワンタイムパスワードの導入、不審な取引の即時通知といった強化が図られています。デジタル技術を活用したチャットボットやマイナンバーカードとの連携による利便性向上も注目されています。

一方で、デジタル機器に不慣れな高齢者の利用率促進やフィッシング攻撃への耐性強化（FIDOパスキーの導入など）などが課題となっており、対応が進められています。

ダイレクトチャネルシステムを構成する個別システムの概要については、各解説ページを参照ください。