
大和総研とRecept、DID/VC技術活用の新個人情報管理サービス「TrustX」共同開発
大和総研とReceptは2025年4月24日、DID(分散型ID)およびVC(検証可能な証明書)技術を基盤とする次世代型個人情報管理サービス「TrustX」の開発・提供に向け、資本業務提携契約を締結したと発表した。本提携により、両社は個人情報管理分野での新たな市場創出とサービス拡大を目指す。
近年、サイバー攻撃や不正アクセスによる個人情報漏洩事件が相次いでおり、従来型の大量な個人情報授受によるリスクを回避する、新しい管理手法への期待が高まっていた。中でもDID/VC技術は、ユーザー自身がアイデンティティや資格情報を主体的に保有・管理し、必要なときに必要な情報だけを選択して開示できる仕組みとして急速に注目を集めている。
2025年1月に両社は業務提携の基本合意を交わし、共同事業化の検討を開始。さらに議論を重ねた結果、長期的で緊密な連携体制の必要性から、このたび資本業務提携契約の締結に至った。大和総研は、金融業界向け基幹システム開発やブロックチェーン分野での実績、各種セキュリティ技術を強みとし、ReceptはDID/VC技術を専門としたスタートアップとして、統合プラットフォーム「proovy」などの開発・展開や、EBSI(EUブロックチェーンサービス基盤)国際認証取得など、先端的な取り組みを進めている。
共同開発する「TrustX」は、ユーザーが本人確認書類の情報をデジタル化し、スマートフォン上のウォレットで一元管理できる点が大きな特徴。本人認証が必要となる場面でも、開示する個人情報の種類や範囲をユーザー自身が細かく指定することが可能となる。また、マイナンバーカードに搭載された電子証明書(JPKI)やブロックチェーン技術を連携させることで、受領者側は提示された情報の真正性検証も容易に行える。これにより、不必要な個人情報の授受を避けつつ、信頼性の高い本人証明や各種手続きが実現できる構想だ。
大和総研がWorkthyとの協業で持つJPKI関連の知見とシステム開発力、ReceptのDID/VCプラットフォーム技術を融合させることで、金融・教育・資格認証などさまざまな分野での実用展開も視野に入れる。詳細なサービス内容は近日中に発表される予定となっている。
従来、不特定多数が個人情報を広範囲に受領・保存するリスク管理が課題となる中、今回の「TrustX」のような本人主導の情報管理モデルが普及すれば、個人情報のセキュリティ向上はもとより、業界のデジタル化推進にも大きな弾みとなりそうだ。今後の進展に注目が集まる。
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