
NTTデータとSecuritize、社債に特典付与できるデジタル証券サービス開始
NTTデータとSecuritize Japanは2025年4月18日、デジタル証券プラットフォームサービスの共同展開を発表した。今回、その第一弾として提供が始まる「社債購入者情報提供サービス」は、社債発行企業が投資家に対して商品やポイントといった特典を直接付与できるサービスとなる。
両社は2020年12月から日本市場向けセキュリティ・トークン(ST)サービスの共同検討や実証実験を進めてきた。資金調達と投資家向けプロモーションを兼ね備えたサービスを構築し、Securitizeの国際基準のシステムと日本の商慣習への適合を両立させてきた経緯がある。
こうした協業の中で誕生した今回のデジタル証券プラットフォームは、発行企業が社債発行時に自ら特典を付与可能にした点が大きな特徴だ。これまで社債購入者の情報は証券会社等に一元管理されており、発行企業がリアルタイムで取得するのは難しかった。しかしこのサービスによって、発行企業は最新の投資家情報を取得しやすくなり、ダイレクトなエンゲージメントや効果的な販売促進活動が実現しやすくなる。
さらにSecuritizeの投資家管理・特典付与などの機能と、NTTデータの広範な顧客基盤や金融ノウハウを組み合わせることで、金融機関を含めた関係者全体の利便性も向上する。今後は社債市場の多様化・活性化に加え、伝統的資産のトークン化を通じて、日本社会の「貯蓄から投資へ」という課題の解決にもつなげていく方針だ。
例えば、地域経済の活性化を狙い、地銀などが地元企業の資金調達とファンづくり支援の両方を目指せるツールとしても活用が期待できる。こうしたプラットフォームの導入により、企業側には資金調達方法の拡充とマーケティングの高度化、投資家にはより身近で魅力的な投資体験という双方の利点がもたらされる。
NTTデータは今回の取り組みについて、「発行企業や投資家だけでなく、幅広い金融機関にもメリットを提供し、社債市場の一層の発展を目指す」とコメント。一方、Securitize Japanも「金融商品を超えた新たな価値を簡便かつ経済的に提供し、投資家が『ファン』や『推し』として参加できる新しい金融体験を創出する」としている。
今後はさらに振替債、デジタル債などの幅広い商品展開と、様々な販売スキーム対応、そして他資産のトークン化といった取り組みも進め、日本の金融市場および企業競争力強化にも貢献していく構えだ。
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