
常陽銀行、AI活用で疑わしい取引モニタリングを効率化
常陽銀行は4月1日、マネーロンダリングや金融犯罪への対策を強化するため、AI技術を活用した取引モニタリングサービスの導入を発表した。今回導入したのは、マネー・ローンダリング対策共同機構が提供する「AIスコアリングサービス」と、SCSK RegTech Edgeが提供する取引モニタリングシステム「BankSavior Monitor」の「AIモデル」である。
マネー・ローンダリング対策共同機構のAIスコアリングサービスは、金融機関の取引モニタリングシステムと連携し、検知した取引のリスク度合いをスコア化する機能を持つ。これにより、従来は人手で行っていた「疑わしい取引の届出」の判定業務の効率化が期待されている。また、誤検知を含む大量の取引からリスクの高いものを優先的に確認できるようになる。
一方、BankSavior MonitorのAIモデルは、2024年7月に提供が開始された機能である。これまでのルールベースによる不正パターン検知に加え、全取引のリスク度合いをAIでスコア化し、過去の取引データを学習することで高精度な不正取引の検知が可能となる。これにより、手口が巧妙化・多様化する金融犯罪への対応力が高まるとされている。
常陽銀行ではこれまで、BankSavior Monitorを活用して、特殊詐欺やマネーロンダリングが疑われる取引を検知し、担当者が顧客属性や取引態様、過去事例をもとに対応を行ってきた。しかしながら、近年の金融犯罪はその手口が複雑化しており、従来のルールだけでは検知が難しい取引が増えていた。
こうした背景から、AI技術による取引モニタリングの高度化が求められていた。マネー・ローンダリング対策共同機構が提供するAIスコアリングサービスは2025年4月から、SCSK RegTech EdgeのAIモデルは2024年7月から、それぞれ提供が開始されている。他の金融機関でもAI活用によるモニタリング強化の動きが進んでおり、今後この分野での技術導入が加速すると見られる。
常陽銀行は、今回の取り組みにより、金融犯罪対策の強化と顧客資産の保護を一層推進していく方針だ。
添付画像一覧
