
金融庁、貸金庫業務の不正対策強化へ監督指針改正案
ポイント
金融庁は、主要行や中小・地域金融機関向けの監督指針の一部改正案を公表した。貸金庫業務における不正防止やマネー・ローンダリング対策の強化を目的としており、管理態勢の見直しを促す内容だ。パブリックコメントを受け付けた後、正式に適用される予定。 金融庁は3月27日、金融機関向けの監督指針の一部改正案を公表した。対象は「主要行等向けの総合的な監督指針」と「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」で、貸金庫業務に関する不正防止策の強化やマネー・ローンダリング対策の実効性向上を目的としている。
改正された指針では、特に行員による顧客資産の窃取や不正行為の防止に重点を置くと共に、マネー・ローンダリングやテロ資金供与を防ぐための対応が求められている。監督指針は、以下のような管理態勢の整備を勧告する形で提示された。具体的には、貸金庫への入退室や開閉時に複数人での確認を義務付け、予備鍵の厳重な管理や防犯カメラの設置、生体認証の導入などが含まれる。
さらに、マネー・ローンダリングや不正利用の防止策として、取引時に顧客の確認を行う体制の構築が必要とされている。貸金庫での取引内容が特定取引に該当するという法令に基づき、この指針はリスクが高い物品を除外する規定の策定などを要求する。また、貸金庫内の不正事案が生じた場合は原則公表することを義務付け、再発防止策を導入することが推奨されている。特に類似の不正事案が他の銀行で発生した場合には、その事例をもとに必要な対策を検討することも期待されている。
金融庁は、改正案に関するパブリックコメントを4月27日まで受け付ける。意見を踏まえた上で、必要な手続きを経て改正を適用する方針だ。金融機関には、より一層のコンプライアンス強化とガバナンスの充実が求められることになる。
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