
日銀、2025年度考査方針を公表:金利上昇下の預貸業務を重点検証
ポイント
日本銀行は2025年度の金融機関に対する考査の実施方針を発表した。昨年3月の金融緩和終了と段階的な利上げにより、金利のある世界が現実となる中、金融機関の預貸業務を重点的に検証する方針を示した。 日本銀行は3月11日、2025年度の金融機関に対する考査の実施方針を公表した。これは、昨年3月に異次元の金融緩和を終了し、段階的な利上げで「金利のある世界」が現実のものとなる中で、金融機関の預貸ビジネスを重点的に検証していく方針を示したものである。
この方針では、金利上昇に伴う金融機関の収益力や経営体力の見通し、リスク管理態勢の実効性を点検することが強調されている。具体的には、大手金融機関におけるグローバル展開やグループ戦略、デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用状況とその実現可能性、地域金融機関における地域経済との連携や収益源の多様化への取り組み状況などが検証対象となる。
また、信用リスクの観点からは、与信動向やリスクテイクの状況、審査・管理態勢の実効性を点検する。市場リスクについては、有価証券投資の動向やリスク許容度の把握、リスク管理態勢の適切性を検証する。さらに、流動性リスクに関しては、調達手段の安定性やストレス時の対応力強化、オペレーショナルリスクでは、サイバーセキュリティ管理やマネー・ローンダリング対策の体制整備状況などが重点的に確認される。
これらの検証を通じて、日本銀行は金融機関の健全性と金融システム全体の安定性を確保し、金利上昇局面におけるリスク管理の高度化を促進することを目指す方針だ。
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