日本総研と富士通、三井住友銀行のシステム作業効率を生成AIで向上
日本総合研究所と富士通は、三井住友銀行の基幹システム「Red Hat Enterprise Linux」のバージョンアップにおいて、生成AIによる実証実験を実施した。この実証は、2024年11月5日から2025年1月15日までの検証フェーズで、多くの非互換情報を効率的に抽出することに成功したという。従来の手作業による非互換情報の取得から約65%の時間を削減することができた。
金融業界ではシステムの高度化に伴い、基幹システムのバージョンアップが複雑化し、多くの時間とコストを要する問題がある。特に、非互換性の特定と対応は、システム停止のリスクが高いため、金融機関にとって課題となっている。この背景のもと、両社は生成AIを導入して効率化を進める試みを行っている。
実証実験は検証フェーズと実行フェーズの2段階に分けて行われた。検証フェーズでは、富士通が開発した生成AI技術により、膨大な非互換情報を自動で抽出した。その結果、非互換情報約400個を特定し、特にC言語やbashシェルで記述されたアプリケーションに影響を及ぼすものを見つけた。これは、従来の目視や手作業で確認する方法に比べ、大幅に効率化されたという。
2025年1月16日から始まった実行フェーズでは、特定された非互換情報に基づいてアプリケーションのソースコード修正を進めている。生成AIを活用し、コード修正作業の時間と手間を大幅に削減することが期待される。
今後、日本総合研究所は大規模金融システムの知見を活用し、成果をSMBCグループ内の他のプロジェクトにも応用する考えだ。また、富士通はこの経験を踏まえ、生成AIによる生産性向上を支援し、金融機関をはじめとする様々な業界のシステム開発や保守の課題解決に貢献する方針を示している。