福島銀行、国内初のAWSクラウド勘定系システムを3ヶ月以上安定稼働
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWSジャパン)は、福島銀行が2024年7月からAWSのクラウド上で稼働を開始した勘定系システムが、3ヶ月以上にわたり安定稼働を続けていると発表した。本システムは、SBIホールディングスとフューチャーアーキテクトが共同で開発し、運用している地域金融機関向けのクラウドベースの勘定系システムだ。福島銀行は日本国内の銀行としては初めてこのシステムを採用した。
福島銀行のクラウド勘定系システムは、AWSの伴走支援を受けながら設計・構築され、わずか3年という短期間で全面稼働を開始した。また、AWSの東京と大阪のマルチリージョンを活用し、高いレジリエンシー(システムの復旧力)を実現している。
SBIグループは、地域金融機関の活性化を通じた日本経済の発展への貢献を目指し、新たなビジネス展開を支援するためにクラウド上で新規に勘定系システムを構築したとしている。AWSはシステムの設計から運用まで、インフラストラクチャーや人的支援を提供し、システムのレジリエンシーの高度化と安定した稼働に寄与しているとする。
福島銀行の勘定系システムは、Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)を活用し、柔軟性と拡張性を持つクラウドネイティブなアーキテクチャで設計されている。APIを通じて他のシステムやフィンテック企業との接続が容易にできる。
福島銀行は、AWSのエンタープライズサポートサービスとAWS Countdownを活用し、クラウドへの移行を実行した。また、AWSのプロフェッショナルサービスが伴走支援を行い、高可用性のシステム設計が短期間で実現した。
SBIグループは、金融機関向け本人確認済みID発行サービス「Trust Idiom」を提供しており、福島銀行でもオンライン口座開設時の本人確認などで利用されている。SBIグループは、Amazon Bedrockを活用し、2025年6月までにPII(個人識別用情報)の画像マスキング機能などを実装する予定だ。
福島銀行の取締役社長である加藤容啓氏は、「デジタルトランスフォーメーションは大きく加速し、業務効率を飛躍的に向上させた」と述べている。そして、今後もSBIグループと協力し、最新のテクノロジーを積極的に活用して地域の人々に革新的で良質な金融サービスを提供していくとの意向を示した。
一方、SBIホールディングスの専務取締役である森田俊平氏は、「この成功事例が、他の地域金融機関のデジタルトランスフォーメーション推進の契機となり、ひいては日本の金融業界全体の競争力強化につながることを確信している」とコメントした。
AWSジャパンの常務執行役員である鶴田規久氏も、「福島銀行の先進的な取り組みは、他の金融機関においてもクラウド活用の重要な指針となるだろう」と述べ、今後も金融業界のデジタルトランスフォーメーションに貢献していく意向を示した。