フィンテック市場規模、2030年に1.5兆ドルへ – BCGの予測
経営コンサルティングファーム、ボストン コンサルティング グループ(BCG)は、米国のベンチャーキャピタルQEDインベスターズと共に「Global Fintech: Prudence, Profits and Growth」(以下、レポート)を発表した。このレポートは、世界のフィンテック企業のCEOや投資家60人以上の意見をもとに、フィンテック業界の主要なテーマやトレンドを解説している。
レポートによれば、フィンテック関連市場の規模は現在の3,200億ドルから、2030年には1.5兆ドルに成長すると予測している。世界のフィンテック企業は堅調に収益を伸ばし続けており、過去2年間の年平均成長率(CAGR)は14%増加、暗号資産や中国関連のフィンテックを除けば21%の成長を遂げている。しかしながら、収益評価倍率は2021年の平均20倍から2023年には4倍に落ち込み、資金調達額も2021年比で70%減少し、特に過去1年間で50%近く減少した。
この低迷は短期的なもので、現在は安定し始めていると考えられる。フィンテック業界の事業モデルは「成長第一」から、収益性を伴う成長を重視するモデルへと転換し、利益率を示すEBITDAマージンは平均9%ポイント改善している。
レポートではまた、業界を牽引するであろう4つのトレンドを解説している。この新たな環境で成功するためには、リスク管理とコンプライアンスを競争優位性とみなす慎重な姿勢や、上位4分の1の企業が達成している利益率の25%ポイント向上を目指すこと、エコシステム全体の持続的な成長のための条件設定がフィンテック領域に取り組む企業にとって重要だと指摘している。
BCGニューヨーク・オフィスのマネージング・ディレクターでレポートの共著者であるDeepak Goyalは「現在フィンテック業界の成功の礎になっているのは、収益性とコンプライアンスだ。これらは継続的な投資を呼び込み、事業を拡大し、持続性と企業価値を高めるために不可欠だ」とコメントしている。