
国産暗号資産ベンチマーク報告書が公表、円建てETF実現に前進
QUICKが主催する暗号資産ベンチマーク研究会は4月25日、国内における円建て暗号資産ベンチマークの開発をめぐる議論や知見をまとめた報告書「国産暗号資産ベンチマークがもたらすエコシステム構築と波及効果」を公開した。国内でも暗号資産ETF(上場投資信託)の組成や販売に向けた議論が加速する中、円建ての指標開発が産業や投資家双方から強く求められてきた。
本研究会には、暗号資産交換業者、資産運用会社、信託銀行、証券会社、法律事務所などの多様なプレイヤーが参加。国内で取引される暗号資産現物の円建て価格を参照したベンチマークの必要性や、その将来的な利用方法について広範な調査と意見交換を重ねてきた。報告書では、ETFやファンド、さらには先物などデリバティブ商品のベンチマークとして、どのような指標設計が望ましいかについても言及している。
従来、日本では暗号資産の価格指標が海外に依存しがちであり、国内の資本市場活性化や投資家保護の観点からも、透明性ある円建てベンチマークの必要性が指摘されてきた。こうした背景を受け、研究会メンバーはベンチマーク設計思想、算出手法、既存の先行事例などを精査。実際に利用可能な指標の開発に向けた議論を進めてきたという。
その成果として、QUICKは今回、国内取引所のビットコイン円建て現物価格に基づくベンチマークを試験的に算出・公表することも発表した。新たに設けられた専用ウェブサイトでは、算出された最新の指標値を誰でも確認できる。この動きは、今後のETFやファンド設定に必要な指標インフラを国内で確立する第一歩となる可能性がある。
研究会には、みずほフィナンシャルグループや三菱UFJアセットマネジメント、コインチェック、GMOコイン、野村アセットマネジメントなど、金融・資産運用・法律事務分野の主要企業が参加。各社の知見と業界動向の集約によって、今後の市場拡大やエコシステムの形成に向けた課題整理も行われた。
QUICKでは今後も、日本の暗号資産市場で求められるベンチマークの開発・普及を進める方針だ。
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