
TIS、デジタル地域通貨に本格参入 フィノバレーの連結子会社化へ基本合意
TISは4月25日、デジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」を展開するフィノバレーの全株式を取得し、同社を連結子会社化するためアイリッジと基本合意書を締結したと発表した。2025年5月に株式譲渡契約を締結し、6月に株式譲渡を実行する予定だ。今回の連携により、両社の事例やノウハウを相互に共有し、デジタル地域通貨の価値向上と事業拡大を図る。
TISは2023年から福島県会津若松市で「会津コイン」の提供を開始し、地域でキャッシュレス決済の普及と地域活性化に注力してきた。一方、フィノバレーは2018年設立のスタートアップで、「MoneyEasy」を活用し、岐阜県飛騨高山の「さるぼぼコイン」や東京都世田谷区の「せたがやPay」など、全国18自治体でデジタル地域通貨を運用している。自治体の地域振興支援をコンサルティングまで担う点も特徴だ。
新型コロナ対策など行政の助成金をきっかけに、自治体によるデジタル地域通貨の導入が広がる一方、安定した需要創出や持続的な成長、市民の行動変容を促す仕組みづくりには課題も残る。TISはこの社会課題に対し、「金融包摂」や「地方の衰退」などの解決を掲げ、「会津コイン」での実績を活かし、行政DXやスマートシティ構想の決済基盤づくりを推進している。
今回の連結子会社化により、TISの「会津コイン」で進める脱炭素型エネルギーとデジタル通貨の価値交換や、フィノバレーが手掛けるふるさと納税連携といった事例・ノウハウを共有。TISとフィノバレーの共同提案や開発リソースの統合により事業対応力を高めるほか、行政DXやスマートシティに資する付加価値サービスの開発を図る方針だ。
今後TISは、フィノバレーとのシナジーを最大化し、地域通貨事業の機能強化と事業拡大に取り組む。2029年度までに「会津コイン」を含むデジタル地域通貨分野で売上高20億円規模の成長を目指す考えだ。
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