
ステーブルコイン国際送金基盤「Project Pax」実務検証を開始、商工中金が国内初の参加銀行に
ProgmatとDatachainは、ステーブルコイン(SC)を活用した国際送金基盤「Project Pax」において、フェーズ2となる実務検証の開始を発表した。同時に、商工組合中央金庫(商工中金)が国内銀行初となるプロジェクト参画行となったことも明らかにした。
「Project Pax」は、国際送金の現場において課題となっている厳格なマネーロンダリング対策(AML/CFT)や複雑な規制対応、既存金融システムとの整合、企業によるウォレット利用など多岐にわたる要件をクリアした新たなSC送金基盤の構築を目指すものだ。Swiftのインフラを活用しながら各国金融機関と連携し、これまでの課題解消と決済効率化を両立させる基盤開発を進めている。
プロジェクトのフェーズ1では、SwiftやProgmat、Datachainそれぞれのシステム間での技術検証が進められ、SC移転がSwift経由で技術的に実現可能であることが実証された。この技術検証を経て、今回、仕向銀行や被仕向銀行となる実際の金融機関とともに、実運用を見据えた実務面の検証(フェーズ2)にフェーズアップした形だ。
実務検証には商工中金が国内銀行として最初に参画する。商工中金は全国の中小・中堅企業を主な取引先とし、貿易取引を中心とした海外送金・決済業務を数多く手がけている。こうしたバックグラウンドを持つ商工中金がプロジェクトに参加することで、クロスボーダー送金の現場ニーズを的確に反映した仕組みづくりと、海外進出を目指す企業顧客へのサービス向上が期待される状況だ。
フェーズ2の検証内容としては、商工中金の既存システムやオペレーションからみてProject Pax基盤の導入がどこまで実現できるかを詳細に検証し、事業化にあたっての具体的な課題(論点)と対応策、導入までのロードマップを策定する。これにより、国内外の金融機関へ展開可能な実用的商用基盤の整備が加速される見込みだ。
Progmatはプロジェクト全体の推進や調整を担い、Datachainは技術面および銀行接続部分の実現性検証、商工中金は金融現場目線からシステムやオペレーション対応の助言・レビューを担当する。
商工中金は本プロジェクト参画について、「外国為替分野を重点的に強化してきた中で、SC基盤の導入は顧客利便性の向上に加えAML/CFT対応にも資する。今回の実務検証を通じて中小・中堅企業のグローバル展開支援にさらに貢献したい」とコメントしている。
今後は2025年4月より速やかに検証を開始し、2025年内の商用化を目指す構え。プロセスを通じて参加する金融機関や対象地域も拡大するとしており、SCを用いた国際決済基盤のグローバルスタンダード化に向けた動きが本格化する見通しだ。
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