
インターネット証券の不正アクセス・不正取引被害が急増、金融庁が注意喚起
金融庁は2025年4月16日現在、インターネット証券サービスを狙った不正アクセスや不正取引による被害が急増しているとして、注意喚起を行った。特に2025年の2月から4月までの3カ月で被害が急拡大し、第三者により盗取されたログインIDやパスワードが悪用されるケースや、偽の証券会社サイト(フィッシングサイト)を通じて個人情報が抜き取られる被害が相次いで報告されている。
金融庁が各証券会社からの報告をもとにまとめた暫定値によれば、2025年2月〜4月の不正アクセス関連の被害件数は、証券会社数で2社から6社へ増加。不正アクセス事案は43件から1,847件、そして合計3,312件へと大きく膨らんだ。不正取引の発生件数も33件から736件、最終的には1,454件に迫る勢いである。これに伴い、被害額も約1億円から131億円、374億円、最終的には506億円に達するなど、被害の規模拡大が顕著になっている。
不正アクセスによる被害の典型的な手口は、実在する証券会社を装ったフィッシングサイトでアカウント情報を盗取し、被害者になりすまして株式などを売却、得た資金でさらに株式購入を繰り返すものである。被害者口座には証券が残り、売買・購入代金だけが不正流用されるケースもある。なお、報告件数や被害額はあくまで証券会社から把握できた暫定的な合算値であり、未判明案件も存在している。
被害拡大を防ぐため、金融庁は以下の点に特に注意するよう呼びかけている。まず、不審なメールやSMSに記載されたリンクは絶対に開かず、必ずブックマーク等で登録した正規サイトからアクセスすること。また利用証券会社が提供する二段階認証などのセキュリティ強化機能を有効にし、パスワードも他サイトと重複しない複雑なものに設定する。さらにはパソコンやスマートフォンのOS、ウイルス対策ソフトを最新に保つことも重要だ。
近年のインターネット証券サービス拡大により利便性が向上する一方、サイバー犯罪のリスクも増している。利用者自身による基本的なセキュリティ対策と知識向上が、被害を未然に防ぐ最善策であることをあらためて認識してほしいとしている。
添付画像一覧
