
金融庁、暗号資産制度に関するディスカッション・ペーパーを公表
ポイント
金融庁は4月10日、暗号資産に関する制度のあり方について検討を行うディスカッション・ペーパーを公表した。暗号資産取引市場の健全な発展と利用者保護の両立を目指し、情報開示の充実や無登録業者への対応強化など、制度見直しの方向性を示している。 金融庁は4月10日、暗号資産に関連する制度の検証と見直しに関するディスカッション・ペーパーを公表した。暗号資産取引市場の健全な発展と、投資家保護の強化を目的として、情報開示や不適切な投資勧誘への対応、取引の公正性確保などの課題に対する制度的な対応を検討する方針を示した。
今回のディスカッション・ペーパーでは、暗号資産の取引が拡大し、国内の口座開設数が1,200万口座を超え、預託金残高も5兆円以上に達している現状を踏まえている。また、投資家の約7.3%が暗号資産を保有しているというデータも示された。これにより、暗号資産はFX取引や社債よりも高い保有率となっている。
一方で、金融庁には月平均300件以上の暗号資産に関する苦情や相談が寄せられている。特に、無登録業者による投資勧誘や詐欺行為、オンラインサロン等を通じた違法な行為への対応が課題とされている。さらに、暗号資産の発行時に用いられるホワイトペーパーの記載内容が不明確であることや、実際のコードと異なる場合があることも指摘されている。
このような状況を背景に、金融庁は情報開示・提供の充実、無登録業者への対応強化、不適切な投資行為への対処、価格形成や取引の公正性の確保を重要課題として挙げた。特に、国際的な規制動向を踏まえながら、投資家保護とイノベーション促進のバランスを取った制度整備が求められるとしている。
金融庁は今後、これらの課題に対する具体的な制度見直しの検討を進め、利用者保護と市場の健全な発展を目指す方針だ。
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