
日立、量子時代に対応した高速・安全な暗号技術を開発
ポイント
日立は、量子コンピュータの実用化に伴う従来暗号技術の解読リスクに対応するため、格子暗号をベースとした高速な検索可能暗号技術を開発した。これにより、暗号化された大規模データの高速検索と安全な統計処理が可能となり、ヘルスケアや金融など多様な分野でのデータ利活用が期待されるとしている。 日立は2月18日、量子コンピュータの実用化が進む中、従来の暗号技術が抱える解読リスクに対応するため、格子暗号をベースとした高速な検索可能暗号技術を開発したと発表した。
これにより、クラウド上に暗号化して保存された大規模データを、暗号化されたまま従来の耐量子性を持つ公開鍵検索可能暗号技術と比べて10倍の速度で検索できるという。さらに、暗号化されたデータの統計処理も安全に実現可能であり、データの安全性を確保しつつ、医療データの分析などデータ利活用の幅を広げることが期待される。
近年、個人情報や機密情報をクラウド上で収集・分析するサービスの利用が拡大している。一方、量子コンピュータの実用化が進むことで、従来の暗号技術が解読されるリスクが高まる懸念がある。従来の耐量子暗号技術は演算処理の負荷が高く、大規模データの効率的な検索には課題があった。また、検索結果を利用した統計処理からプライバシーが漏洩するリスクも指摘されていた。
今回、日立が開発した技術は、従来方式の詳細な安全性解析を行い、安全性を損なうことなく検索処理に用いるベクトルの次元数を削減することに成功した。その結果、従来の格子暗号技術に比べて10倍の高速検索を実現した。これにより、大規模データの効率的な検索が可能となる。
さらに、秘密分散技術を用いて、検索結果が一定数以上集まった場合のみ統計処理可能なデータに変換する技術も開発した。これにより、暗号化された状態での統計量計算が可能となり、例えば、患者のプライバシーを保護しながら医療データを分析するなど、データの利活用範囲が広がる。
日立は今後、ヘルスケア、公共、金融などの多様な分野で本技術の活用を目指し、データ保護と利活用の強化に貢献していくとしている。
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