日本IBMと横浜銀行、AIを活用した融資審査業務の効率化を目指す
日本IBMと横浜銀行は、融資審査業務における稟議書の作成にAIを活用する実証実験を実施した。その結果、行員の業務効率化と審査スキル向上の観点から有用性が明らかになった。
この実証実験では、「融資稟議書作成支援AI」のプロトタイプを作成し、AIが融資稟議作成を支援することで、行員の稟議作成にかかる時間の効率化が確認できた。業務にAIを実装した場合、最大で年間19,500時間の業務効率化が見込まれるという。
さらに、与信判断に必要な審査項目について、お客さまへのヒアリングが不足している点を明確にできる効果もあった。行員はAIを活用した融資審査を通じて、どのような情報をお客さまから聞き取るべきかという「気づき」を得ることができ、この「気づき」によって、行員の審査スキルが効果的に向上することも期待できるとしている。今回の実証実験で確認したポイントや課題を整理し、実装化を目指す。
横浜銀行は、お客さまの多様な経営課題に対応するために、行員一人ひとりが付加価値の高い金融サービスを提供する「ソリューション・カンパニー」の実現を目指している。日々の営業活動において、お客さまのニーズを深く理解することが求められており、特に融資審査業務では行員のヒアリング力や提案力の向上が必要不可欠だ。
横浜銀行は今後も、AIなどの最先端のデジタル技術を活用し、お客さまの多種多様なニーズに応えるとともに、より生産性の高い働き方を実現することで、地域社会の持続的な発展に貢献するつもりだ。
この実証実験の目的は、AIによる生成内容が品質と業務効率化の観点で有用であるかの検証だった。試験期間は6週間で、日本IBMのアセットを活用した「融資稟議書作成支援AI」が作成した稟議書をもとに、審査項目の網羅率、文章品質、および業務時間削減効果を検証した。