資金証券系システム
資金証券系システム(市場系システム)の概要
資金証券業務(市場業務)は、その実現する機能別に、フロントオフィス業務、ミドルオフィス業務、バックオフィス業務に分類されており、資金証券系システムも各業務に対応する形で、フロントオフィスシステム、ミドルオフィスシステム、バックオフィスシステムに分類されるとされています。
しかしながら、実際は、各オフィス業務が実現する機能は、銀行や商品によって異なることも多く、その分類の境界は曖昧です。また、各システムも1つのシステムでほぼ全ての業務を実現する場合のほか、商品によって異なる形態を採用する場合があるなど、様々な形態が存在します。
資金証券系システムの概要図
以下に、代表的な資金証券系システムの概要図を示します。各金融機関により、システム構成は大きく異なります。
資金証券系システムの種類・概要
フロントオフィスシステム
フロント業務とは、資金、為替、有価証券等の実際の取引を行う業務です。フロントオフィスシステムは、フロント業務を支援するために、各商品ごとに取引所と接続して、発注・注文を行う機能、各商品ごとの残高等のポジション管理やポートフォリオの管理・分析を行う機能、市況情報や銘柄情報をリアルタイムに照会・分析する機能などから構成されています。
近年、市況動向やイベント情報等をもとにプログラムを使って自動売買を繰り返すアルゴリズム取引や、価格動向をもとにミリ秒単位で高速に受発注を繰り返すHFT(High Frequency Trade)が普及しており、これらを支援するシステムも普及しています。
ミドルオフィスシステム
ミドルオフィス業務とは、資金、為替、有価証券等の市場取引が社内の取引方針やルール、法令等に準じているか、リスクテイクは適切かといった評価・チェックを行う業務です。
一般に資金証券業務(市場業務)では、リスクアペタイトフレームワーク(RAF)等に基づいて決定された収益目標やリスク目標等に応じて取引方針が決定されます。この取引方針に基づいて、市場リスク管理システム等により、商品ごとの取得可能な市場リスク額が算出され、このリスク額の範囲内で取引を行うことになります。
ミドルオフィスシステムでは、このような社内の方針や事前に決定したリスク額に従って、フロントオフィス業務が適切に執行されているかチェックを行います。実際のシステムとしては、市場リスク管理システム・ALMシステム等と同一のシステムを使用している場合が多いと思われます。
バックオフィスシステム
バックオフィス業務とは、フロント業務での各商品の注文成立を受けて、取引所や外部センター経由による取引相手との資金決済や、自行内の勘定仕訳・会計処理等を行う業務です。
バックオフィスシステムでは、このようなバックオフィス業務を支援するために、日本証券クリアリング機構等経由で日本銀行や証券保管振替機構等と接続し清算や資金決済を行うなど、複数の外部センターや金融機関と接続を行っています。
また、バックオフィスシステムでは、会計処理を実施するために、フロントオフィスシステムで保有する商品ごとの残高と必ず同期が取れていることを確認しています。
製品・サービス一覧
資金証券系システムの製品・サービス一覧は、以下のページを参照ください。