国際系システム
国際系システムGlobal Systems
拡大する銀行の海外ビジネスを支える基幹システム

国際系システム

国際系システムの概要

国際系システムは、海外支店や現地法人を有しグローバル企業の資金管理を一括でサポートするメガバンクと、中小企業の輸出入に伴う資金決済等を主な業務とする地域金融機関(地銀、信金)とでは、そのシステム構成が異なっています。

メガバンクでは、多通貨・多言語に対応している国際勘定系システムを構築しており、国内勘定系システムと同様、グローバル企業や現地顧客向けの預金、融資、決済機能等を提供しています。その他、外国為替業務を担う外為システムや、SWIFT経由で海外金融機関との決済関連電文の送受信を行うSWIFT通信システム、企業のグローバルな資金を一括管理するキャッシュマネジメントシステムなどを構築しています。

地域金融機関(地銀、信金)でも、多くの金融機関が外国為替業務を取り扱っていることから、国際勘定系システムを構築しています。ただしメガバンクとは異なり、地域金融機関の国際勘定系システムでは、外国為替業務に関する勘定処理や取引処理、外貨預金が中心となっているようです。そのほか、顧客向けの外国為替システムや、SWIFTとの決済通信システムなどを構築しています。

国際系システムの概要図

以下に、代表的な国際系システムの概要図を示します。各金融機関で提供している商品・サービスにより、システム構成は大きく異なります。

国際系システム

国際系システムの種類・概要

(1) 国際勘定系システム

メガバンクの国際勘定系システムは、多通貨・多言語に対応しており、グローバル企業や現地顧客向けの預金、融資、決済業務等を提供しています。

海外主要金融機関では、国内向けの勘定系システムと海外向けの勘定系システムが分かれていないことが多いと言われていますが、日本の金融機関では、長く国内銀行業務を主体としてきたこと、及び日本と海外で取り扱う商品・サービスが大きく異なること等から、別々のシステムで構築されています。

一方、地域金融機関の国際勘定系システムはパッケージを活用して構築されており、主に国内顧客向けに外国為替や外貨預金、両替等の業務を提供しています。

(2) SWIFT関連システム

SWIFTとは1973年にベルギーで設立された協同組合形式の団体であり、金融機関などに安全な金融通信メッセージサービスを提供する金融業界の標準化団体です。SWIFTは、資金付替、顧客送金、証券取引、デリバティブなどのグローバルな金融メッセージネットワーク(SWIFTNet)を提供しています。

SWIFT関連システムとしては、SWIFTのセキュアIPネットワーク(SIPN)への接続等を担うSWIFT通信システムや、SWIFT電文や顧客用ドキュメントの作成等を支援するシステム、国際勘定系システム上の残高とSWIFT経由で受信する取引明細当を突合するリコンサイルシステムなどが存在します。

SWIFTでは、制度変更等で年1回程度のフォーマット変更等を実施しており、システム側でも頻繁にシステム変更対応が必要となります。このため、多くの金融機関がSWIFTサービスビューローと呼ばれるベンダへのアウトソーシングサービスや、共同化システムを利用しています。

ISO 20022への移行

国際送金の分野では、SWIFTによるISO 20022への移行が重要なトピックとなっています。この新しいメッセージ標準は、従来のMTフォーマットに比べて、より豊富なデータセットと構造化された情報が提供されます。日本の金融機関においても、2025年までに完全移行を完了する計画が進行中です。これにより、日本の銀行は詳細な信用情報をもとにAMLチェックや民間データの利用拡大が期待されています。

(3) キャッシュマネジメントシステム(CMS)

キャッシュマネジメントシステムとは、顧客企業のグローバルな資金を一括管理し効率的な資金利用をサポートするシステムです。近年は、法人向けインターネットバンキングの一部として組み込まれています。

グローバル企業が各拠点に保有する資金を1つの口座に集中させて、資金の過不足を一括で管理するプーリング機能や、企業間取引の決済において買掛金と売掛金を相殺し差額のみを決済するネッティング機能、資金繰りを予測するキャッシュフロー予測機能などが提供されています。

2014年から2015年にかけて開催された金融庁「決済業務等の高度化に関するスタディグループ・ワーキンググループ」において、重点テーマの1つとして議論されるなど、近年注目を集めています。

(4) 外国為替機能

顧客企業に対して、外国送金等の外為業務を提供するインターネットバンキングシステムです。

外国為替システムは、顧客が異なる通貨での取引を行う際の為替取引をサポートします。これにはスポット取引、フォワード取引、スワップ取引などが含まれます。外国為替業務の処理では、各国の通貨コード(ISO 4217)、交換レート、決済システムとの連携が必要です。また、為替レートの変動リスクを管理するためのヘッジ機能や、取引量に基づくレポート作成機能も重要です。

(5) 貿易金融(トレードファイナンス)機能

貿易金融(トレードファイナンス)機能では、貿易取引に伴う信用状(L/C)の発行、輸出入決済、保証業務などを扱います。これには、輸出者と輸入者の間で発生する信用リスクを軽減するための仕組みが含まれます。

キャッシュマネジメントシステムや法人インターネットバンキングシステムと連携しており、例えばシングルサインオン機能等によりシームレスに利用できるように構築されています。

(6) その他

SWIFT送受信電文内に、マネーロンダリングが疑われる取引がないか確認するために、アンチマネーロンダリングシステム(AMLシステム)が使用されます。AMLシステムについては別項で説明します。

製品・サービス一覧

 国際系システムの製品・サービス一覧は、以下のページを参照ください。